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事例・レポート

事例

ECサイト基盤をプライベートクラウドからアマゾン ウェブ サービス(AWS)へ移行

日本生活協同組合連合会 様/コープ情報システム株式会社 様

組織名
日本生活協同組合連合会(日本生協連)
所在地
〒150-8913 東京都渋谷区渋谷 3-29-8
設立
1951年
会員数
319生協(2018年度末)
職員数
1,454名(2018年度末)
事業内容
会員生協への商品供給などに関わる事業、会員生協への支援など
URL
https://jccu.coop/
会社名
コープ情報システム株式会社
所在地
〒169-0073 東京都新宿区百人町 3-25-1
設立
1996年
従業員数
124名(2019年4月現在)
事業内容
日本生協連会向けシステムの開発・保守・監視・運用など
URL
http://www.coopis.co.jp/

日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、生協に加入した組合員が利用するECサイトの基盤をリニューアルし、プライベートクラウドからAWSへ移行した。AWSクラウド上の新しいECサイト基盤を構築するにあたり、日本生協連はIT子会社のコープ情報システム、及び従来から開発・運用保守を担当してきた伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と共にプロジェクトを組織。設計開始からおよそ1年半の構築期間で移行を完了させ、サービス提供開始を迎えた。

日本生活協同組合連合会 システム企画部 企画グループ シニアシステム担当 大島 晋氏

日本生活協同組合連合会
システム企画部 企画グループ
シニアシステム担当
大島 晋氏

日本生活協同組合連合会 事業支援本部 事業企画部 インターネット企画グループ 岡本 光泰氏

日本生活協同組合連合会
事業支援本部 事業企画部
インターネット企画グループ
岡本 光泰氏

コープ情報システム株式会社 事業システム1部 WebサービスG グループマネージャー 吉田 剛久氏

コープ情報システム株式会社
事業システム1部
WebサービスG
グループマネージャー
吉田 剛久氏

課題と効果

課題と効果

2000年にスタートした生協のECサイト
利用率の向上に合わせて課題が浮き彫りに

日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、1951年に設立された生活協同組合(生協)の全国組織だ。2018年度現在、日本国内には消費生活協同組合法に基づく生協が568組織あり、生協組合員総数は約2,924万人、総事業高は約3.5兆円にも上る(日本生協連調べ)という。このうち319組織が日本生協連の会員として加盟し、全国の各地域で生活物資の共同購買事業や組合員の福利厚生を目的とした共済事業を展開している。そうした会員生協の組織運営をサポートするのが、日本生協連の大きな役割だ。

そのような日本生協連の取り組みの1つに、生協組合員が利用するECサイト基盤の構築・運営がある。最初のECサイト「eフレンズ」がサービスを開始したのは、2000年のこと。当初は、商品カタログの注文番号を入力するというシンプルなものであったが、PCや携帯電話の急速な普及と共に利用する組合員が急増。2007年にはECサイトを全面的に見直し、組合員がネット上でそのまま商品を選んで注文できるWeb上のECサイト基盤「CWS(Coop-Web-Standard)」に模様替えした。現在は会員生協のうち、コープ東北サンネット事業連合、コープ北陸事業連合、生活協同組合CO・OPとやま、生活協同組合ユーコープ、コープCSネット、生活協同組合連合会コープ九州事業連合の6団体に所属する会員生協が、CWSを利用しているという。
「生協におけるECサイトの利用率は年々向上しており、現在は約20%の組合員がECサイトを通じて商品を購入しています。ECサイトに対する組合員のニーズも時代を追うごとに変化しているため、日本生協連ではCWSをこれまでに2度リニューアルして機能強化に取り組んできました。そうした中、課題として上がってきたのが、コスト負担を削減することでした。」(日本生協連 大島晋氏)

老朽化を待たずコスト削減を目的に
パブリッククラウドへの移行を決断

CWSはこれまで、オンプレミス環境に構築されていた。2010年のリニューアルでは、日本最大規模のECサイトをプライベートクラウドの仮想基盤へと移行したが、組合員の利用率向上に伴うシステム基盤の拡張によってコストの負担が重くのしかかるようになっていった。この課題を解決するために、日本生協連はCWSをパブリッククラウドへ移行することを決断する。

「これまでのリニューアルは、CWS稼働基盤の老朽化による更改のタイミングで実施してきました。しかし今回は老朽化を待たず、コスト削減を目的にオンプレミスのプライベートクラウドからパブリッククラウドへ移行することとし、2016年から3度目となるリニューアルの検討を始めました。」(大島氏)

日本生協連ではIT子会社のコープ情報システム、及び従来からCWSの開発・運用保守を担当してきたCTCと相談しながら、どのパブリッククラウドに移行すべきか、どんなサービスを採用するかといった検討を入念に行った。その結果、最もコスト削減効果が高く、将来を見越したECサイト基盤に最適だと判断できたのが、AWSクラウドだったという。

採用実績からAWSクラウドを選定
決め手はデータベース環境の移行可能性

複数のパブリッククラウドについて、機能・性能・コストなどを総合的に比較した結果、日本生協連はAWSクラウドを採用することにした。採用の理由は、AWSの導入実績とCWSの開発・運用保守を担当するCTCにAWSクラウドのSI実績が豊富にあった点が挙げられる。
「従来のCWSで特にコスト負担が大きかったのが、データベース管理システム(DBMS)でした。CWSでは処理の高速化を目的に、Oracleのインメモリ・データ・グリッド・ソリューションも採用していたため、同等のDBMSとインメモリデータベースをサポートしていることが必須条件でした。」(日本生協連 岡本光泰氏)

コープ情報システムがCTCの支援のもとにPoC(概念実証)を実施して検証したところ、既存のCWSのデータベース環境はAWSのDBMS「Amazon Aurora」、インメモリデータベース「Amazon ElastiCache」へ移行できることがわかり、これが採用の決め手になったという。

性能とサービスレベルを維持しながら
ECサイトのコスト削減という目的を達成

こうしてAWSクラウドに移行することにした日本生協連では、2017年10月に移行プロジェクトを始動させた。最大の懸案事項だったデータベースの移行については改めて設計・サイジングを行い、コストを削減しながらパフォーマンスとサービスレベルを維持することに成功した。

「アプリケーション機能は既存のビジネスロジックをそのまま移行することにしました。ただしアプリケーションの構成は、ECサイトの運用に必要な機能を『基本パッケージ』、会員生協が選択可能な追加サービスを『オプション』に分けることにしました。会員生協が個別に運用している外部サービスとの親和性を高めるために『基本パッケージ』の機能をAPIとして提供することにしました。」(コープ情報システム 吉田剛久氏)

プロジェクトは順調に進み、2018年10月に一部の会員生協向けにサービス提供を開始。2019年4月には、新しいAWSクラウドによるECサイト基盤への移行を完了させた。

「AWSクラウド上に構築したECサイトは、キャンペーンによりアクセスが集中しても即座にスケールを変更できます。またシステム障害が発生しても局所化できるなど、拡張性と可用性を大きく高めるという効果が得られたと実感しています。性能とサービスレベルを維持し、コストを削減するという当初の目的も達成することができました。」(吉田氏)

CTCの協力のもとに機能改善に取り組む
ECサイトを発展させる新しい提案も期待

こうして4代目となるCWSをAWSクラウド上に稼働させた日本生協連だが、今後もECサイト基盤を管理するコープ情報システム、運用保守を担当するCTCと協力しながら機能改善に取り組んでいく予定にしている。

「現在は、例えば商品の価格やスペックをすぐに変更したいというニーズに応えるために、会員生協が使用するECサイト管理機能をより分かりやすく、使いやすいものに作り直す取り組みを進めています。更に会員生協にとって利便性の高い追加サービスを開発し、オプション機能を拡充していきたいと考えています。」(岡本氏)

こうした取り組みを進める上で、CTCにも高い期待を寄せている。
「CTCには、最初のCWSを構築した時から開発・運用保守を委託しており、私たちの業務を深く理解した上で安定したサポートを提供してもらっています。今回のAWSクラウドへの移行も、CTCの協力なくしては実現することは難しかったでしょう。これからもCTCには、ECサイト基盤を発展させるような新しい機能、新しいサービスの提案を期待しています。」(大島氏)

※アマゾン ウェブ サービス、AWS、およびかかる資料で使用されるその他のAWS商標は、米国その他の諸国における、Amazon.com,inc、またはその関連会社の商標です。

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